【第60回】「ヘソ1個戻し」は不利なのか?
※『パチンコ正攻法』過去の連載まとめはコチラから。
実はヘソ賞球に関してはこれまでにも3個、5個、6個、7個など色々な数に規制されていた経緯があるが、現在ではヘソ賞球1個の台が主流になりつつある。
これには、メーカーの出玉設計上の理由があったりするのだが、本稿ではこれを客とホールの視点から掘り下げる。
パチンコにあまり詳しくない私の友人がこんなことを言っていた。
「貰えるものは貰っておいたほうがいいんじゃないの?」
つまりヘソ賞球は少ないより多いほうが良い、というのが彼の考え方になる。
確かに、ヘソ賞球は少ないより多いほうが玉持ちは良くなる。同じ軍資金ならば賞球が多いほうが長く遊べるし、持ち玉遊技になってからも減るスピードは遅くなる。平たくいえば客側に有利ということになる。
しかし本当だろうか?
確かに、大当り確率や大当り出玉がそのままに、賞球だけが増えたのだとすれば客に有利なのは間違いない。
だが一方的に客に有利なだけではパチンコ産業は成り立たない。パチンコがなくなればパチプロも勝ち組もあったものじゃない。
我々がすべきことはパチンコ産業を潰すことではない。あくまでもホールに儲けてもらいながらも、そのおこぼれを頂戴してちゃっかり勝たせてもらうことなのだ。
話のスケールが大きくなりすぎてしまったが、要するに、わずか数個の賞球でも1日分積み重なればかなりの量になるということ。
1日2000回転まわすとすれば、1個戻しと5個戻しでは1日の払い出し玉数はなんと8000個も差が出るのだ。
ホールにとっては戻し玉も出玉の一部である。どうせ客に払い出すならば、賞球ではなく大当り出玉として払い出してやりたいと思うのが当然の心理だろう。
ヘソ1個戻しと5個戻しの台を例にあげて具体的に比較してみよう(ヘソ以外の賞球はないものと仮定)。たとえばどちらも千円20回転まわるとする。ともに千円(250個)打った場合で比較すると…?
ヘソ1個戻しなら千円20回転で賞球が20個戻ってくることになる。最初の250個と合わせて270個になる。つまり1000円使い切るまでに玉を270個打ち出すことになる。
1発あたり0.6秒として、2分42秒かかる計算だ。
ではヘソ5個戻しならどうか。
ヘソ賞球は20×5=100だから、最初の250個と合わせて350個となる。1000円使い切る=350個打ち終わることを意味する。1発あたり0.6秒とすると3分30秒かかる。
要するにヘソ賞球5個のほうが1000円打つのに48秒余分にかかる。1万円打つのに8分余分にかかるのだ。そうすると大当りするまでに要する時間も長くなるのは当然のこと。賞球が多い台ほど時間がかかる、消化がかかる台になることを意味している。
これをホール側から見ると、客が1万円打つごとに、
1個戻しの場合は200個
5個戻しの場合は1000個
…の玉を返しているわけだ。大当たりしなくても無条件にこれだけの玉を返すのである。よってホールとしては、賞球を多くすればその分、大当りを削らざるを得ない。そうすると、玉持ちは良いが当たりにくい。ダラダラとした展開になりやすい。
したがって、玉持ちが悪いからと言って一概に悪だと決めつけることはできない。さらに言ってしまえばパチプロは玉持ちの悪い台を好む傾向になるのだが、そのへんについては改めて解説することにする。
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