※過去の「栄光なき名機たち」記事

チワッス、あしのです！

パチスロ界に燦然と輝く名機たちの傍らでひっそりと咲く佳作を紹介するこちらの企画、今回はアリストクラートが2001年にブチ込んだ怪作「ダブルフェイス2」をご紹介。

パチスロ界の黒船、アリストクラートが「猫DE小判」の直後に出した機種ですな。

これは四号機爆裂AT機ブームのど真ん中からやや後方くらいに出た機種で、史上初の「シマ一括抽選」というまあまあ不穏な機能を搭載していたことで大変有名であります。

「シマ一括抽選（ハプニングチャンス）」というのはその名の通り「一定時間（20分）ごとに全部の台が一斉にAT抽選を行う」というもの。

なんというか、発想が5才児くらい無邪気です。さすが黒船。

後述しますが実際にはほんとに抽選してるわけじゃないですけど、見せ方としてはガチで抽選してるみたいな感じになっており、しかも誰も着座してない台も一斉に台枠がビカビカと光るなど派手な効果音が鳴り響く演出が入ってたので、見ようによっちゃかなり不気味でありました。

ATブーム当時は新台だけ導入しといてあとはベタピンで営業するぜ～みたいなホールがめちゃくちゃ多く、特に田舎の郊外店とかに行くと「新台以外は誰一人として客がいないバイオハザードの洋館なみに寂しいホール」も普通にたくさんありました。

そんなホールで打ってるときに背後にこの機種があったりすると20分に一回「ンギー！ンギー！」みたいな効果音でビクッとする羽目になり、しかも振り返っても誰もいないんでマジでトワイライトゾーンに迷い込んだような、現実感がグニャリと歪んだような気分になったものです（ほんとに気持ち悪かった）。

なのでこいつに関しては機械の内容はまあまあどうでもよく、この「ハプニングチャンス」こそがアイデンティティみたいになっており、実は俺も「この機種のATってどんなやつだったっけ」みたいな感じでそれ以外のことをほとんど覚えてません。

実時間を計測して一斉に何かが起きる機能を「RTC（リアルタイムクロック）」などと言います。

パチンコでいうと有名なのは「AKB48」のライブステージとか「海物語」のスペシャル魚群ゾーンとかですが、考えようによっちゃこれはそのハシリっちゃハシリかも。

たしかにあのスペシャル魚群ゾーンとかも誰もいないホールで自分ひとりで打ってるときに起きるとなんか気色が悪いような、心細いような気分になるんで俺は嫌いなんですけども、それをよりハードコアにしたのが「ダブルフェイス2」だと思えばそんな外してないです。

んでこれ賢明な読者諸兄はおそらく誰しも気づくように「時間で抽選するATってそもそも設置許可がおりるのか」という問題があります。

パッスロというのは、レバーオン以外でフラグ抽選をしちゃだめなんですね。

獣王みたいな抽選方式の機械も一応はレバオンで純ハズレを引いた際にサブ基盤でのAT抽選が入る仕組みになっとるわけで、レバオンが契機になってるという大前提は外してないです。

モード式のサイレントストック機もそうですね。RTの解除ゲーム数を決めるのはだいたい、前回のボーナス最終ゲームの第三停止ボタンを離した瞬間です。

これも遡ればレバオンが契機になっておるわけで、なにも勝手に次回ボーナスの放出が決められてるわけじゃない。

これはもうパチスロの基本なので間違いがないのですが、それに対してこの台はRTC（といっていいのかしらんけど）で出玉にまつわる部分の抽選をやってるように見える。

おかしいぞ？　さては裏モノか！

はい、実はこれ、ごく普通に通常時にAT抽選を行っており、それが20分周期で「放出」されてるだけなんですね。

なのでずっと誰も座ってない台はそもそもハプニングチャンスでATが発動することはないのです。

この台についてはよく「朝イチから誰も座ってなかった台でATが発動し、周りの連中で殴り合いの争奪戦が起きた」とかいう伝説がまことしやかに語られるのですが、それはあくまでネタであり、実際にはそれは起きないようになっているのであしからず。

ただ、誰かが回したあとにやめちゃった台の場合に限り、次のハプニングチャンスでAT発動の可能性が出てくるわけで、その際は上記「誰も座ってなかった台でATが発動し…」という状況が現実的になります。

実際、そういう例も日本中探せばいっぱいあったでしょう。

それで殴り合いまで発展したのが果たしてどれだけあったかは知るよしもありませんが、いっても日本はまあまあ広いので、「俺はダブルフェイス2の空き台でATが発動してるのを巡って殴り合いをしたことがあるぜ～！」という益荒男も、これをご覧のかたのなかには一人くらいいるかもしれませんな。

まあ俺が店長だったら永久出禁にしますけどね…。