【第5回】ホールデータの秘密
※『パチンコ正攻法』過去の連載まとめはコチラから。
もし「運」だけで長年勝ちまくる客がいるなら、逆に、運の良い客がたくさん来て大赤字になったり、挙げ句潰れてしまうホールがあってもいいはず。
しかし実際にはそんな例はまずない。
むろん、客があまり来ないホールが潰れることはあるだろう。
また、いっけん客が多く見えても、競合店との出玉競争に敗れて潰れるケースも考えられる。
はたまた、客好きのあまり良くない小規模ホールでは、一部の客がバカづきして赤字になってしまう日もあるだろうが、そんなことが毎日続くはずもなく、逆にボッタクリすぎてしまう日もあるだろうし、1ヶ月程度のスパンで見れば「運のいい客に潰される」ホールなどまずあり得ない。
なぜこんな話をしたかというと、私は仕事上「ホールデータ」なるものを延べ数十店舗、数百本は分析したことがある。ホール責任者から直接提供してもらったナマの営業データである。
このホールデータには、特賞回数やそれまでに打ち出した玉数、要した回転数はもちろんのこと、ベース(賞球払戻率)、差玉数、分間スタート(打ち出し100発あたりの回転数)なども表示される。
もちろん売上もプリペイドカードで管理されているので正確に計上される。
ホール側は、どの台を出すか出さないか等を自由自在にコントロールすることはできない。
そこで、目標とする出玉率に近づくよう、ホールデータを見ながら回転率や入賞率を調整する必要がある。多くのホールでは毎日のようにこの作業を行っている。ホール向けの業者などが機種ごとのボーダーラインをホールに提供しているので、それを基準にしているホールが大半だろう。
ホールとしては、全体として利益が出ればよいのであって、どの台が出るか出ないかは知らないし、操作することもできない。
昔は、出たら締め、出なければ開けるという調整手法のホールも多かった。
しかし現在では、出た、出ないに関係なく、計算上の採算ラインに合うように、状態を均一にするホールが大半を占めるようになった。
つまり計算上利益が出るようにしておいて、「波」はすべて台に任せるという考え方になる。台数が多いから全体的には大体計算通りになる。1日~数日単位では多少ブレることはあっても、あくまでも誤差の範囲内。月単位ではほぼ計算通りの利益になる。
こうしてみると、ボーダーラインのおかげでホールは利益を出せていることになる。
それは客から見ても同じことで、客だって勝つためにはボーダーラインを利用するしか手段がないのだ。
状態を均一にしているホールが多いのでボーダーを超える台を探すのはそう簡単ではないが、隙は絶対にある。フットワークも努力も必要だが、それを探すのがパチンコで勝ち続ける唯一の道なのだ。
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